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Slurm Debianパッケージ作成ハンズオンガイド

皆さん、こんにちは!

今回は、多くの研究機関や企業で利用されているSlurmの、Debianパッケージをソースコードから作成する手順をご紹介します。

「でも、パッケージ作成って難しそう…」と感じるかもしれませんね。

ご安心ください! このハンズオンガイドでは、皆さんがスムーズにSlurmのDebianパッケージを作成できるよう、具体的なステップとちょっとしたコツや注意点も合わせてお伝えします。

公式サイトの手順はこちらからご確認ください。

なぜDebianパッケージをソースから作成するの?

Debian/Ubuntuの公式リポジトリにあるSlurmは安定している反面、バージョンがかなり古いことが多いです。
例えば、Ubuntu 22.04のリポジトリにあるのはSlurm 21系ですが、私たちが必要としているのは、バグ修正や機能改善が進んだ最新バージョン。

Slurm はソースから簡単にビルドできます。
一方、make installで直接インストールしてまうと、以下のような課題が出てきます。

  • アンインストールが面倒
  • 他の管理者と共有しづらい
  • OSのパッケージ管理と分離してしまう

Debianパッケージをソースから作成することで上記のような課題を解決いたします。

Slurm Debianパッケージ作成ハンズオン

それでは、実際にSlurmのDebianパッケージをソースコードから作成する手順を見ていきましょう!

  1. 準備:ビルドに必要なツールのインストール

    • まずは、Debianパッケージをビルドするために必要な基本的なツール群をインストールします。
    # apt-get install build-essential fakeroot devscripts equivs
    
  2. ソースコードの取得と展開

     # mkdir /root/src/
     # cd /root/src/
     # wget https://download.schedmd.com/slurm/slurm-24.11.5.tar.bz2
     # tar -xaf slurm*tar.bz2
     # cd slurm-24.11.5
    

    💡 ヒント:
    上記のwgetコマンドでダウンロードされるのはSlurmバージョン24.11.5ですが、最新版や他のバージョンをダウンロードする際は公式サイトで最新バージョンを確認してくださいね。

  3. 依存関係のインストール

    • Slurmのパッケージをビルドするために必要な依存関係をインストールします。mk-build-depsコマンドを使えば、debian/controlファイルに記述された依存関係を自動的に解決してくれます。
     # mk-build-deps -i debian/control
    
  4. パッケージのビルド

    • いよいよSlurmのDebianパッケージをビルドします。debuild -b -uc -usコマンドを実行します。
     # debuild -b -uc -us
    

    このプロセスには少し時間がかかることがあります。

  5. 作成されたパッケージの確認

    • ビルドが成功すると、/root/src/ディレクトリに複数の.debファイルが作成されます。
     # ls -lt /root/src
    

    以下のようなファイルがリストアップされれば成功です。

     slurm-smd_24.11.5-1_amd64.deb
     slurm-smd-client_24.11.5-1_amd64.deb
     slurm-smd-slurmctld_24.11.5-1_amd64.deb
     slurm-smd-slurmd_24.11.5-1_amd64.deb
     slurm-smd-slurmdbd_24.11.5-1_amd64.deb
     :
    

多くのファイルが生成されますが、実際にインストールに必要となる主要なパッケージは、slurm-smd、slurm-smd-client、slurm-smd-slurmctld、slurm-smd-slurmd、slurm-smd-slurmdbdなどです。
これらのファイルがあれば、dpkg -iコマンドを使ってSlurmをインストールできるようになります。

実際のインストールは次回ご紹介します。

まとめ

今回は、SlurmのDebianパッケージをソースコードから作成するハンズオンをご紹介しました。

一見複雑に思える作業も、一つ一つのステップを丁寧に踏んでいけば、ご自身の環境に最適なSlurmパッケージを準備することができます。

また、「Ready-to-Compute ワークステーション」のように、最初から面倒な設定が不要な計算環境も提供されています。
これらのサービスでは、OSや研究環境の設定、さらにはソフトウェアの動作確認まで、専門のエンジニアが対応してくれるため、すぐに研究に集中したい方には非常に魅力的です。

このブログ記事が、皆さんのHPC環境構築の一助となれば幸いです。もしご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください!